電子味覚システム
ASTREE
味覚の数値化で官能評価を補完
電子味覚システム ASTREE(アストリー)は、溶液中の味覚刺激に作用する複合成分を、7本のセンサーによる応答パターンとして取得し、基準試料との比較、あるいは官能評価との相関モデルから、味の数値化を行います。 ケモメトリックス手法により、様々なグラフや数値のアウトプットが可能です。ASTREEは、繰り返しの再現性に優れ、測定時間も短いため、官能評価の負担を軽減するスクリーニングツールとして、世界の食品、医薬品分野等で幅広く利用されています。
甘味にも高感度・油脂の影響を受けにくい
ASTREEの7本のセンサーは、溶液中のあらゆる有機、無機成分に応答する広域選択性を示し、基本五味に限らず、渋味、辛味、金属味など、体性感覚に働く成分も検知します。甘味物質に対する感度も高く、異なる種類の糖や人工甘味料にも応答します。また、センサーは油脂成分の影響が少なく、油を含有している試料でも測定が可能です。
測定間隔はわずか3分以内
ASTREEの測定間隔はわずか3分以内(測定時間2分、洗浄10秒)で、迅速な測定が可能です。多検体(最大47検体)のスクリーニングに適し、官能評価の負担を大幅に軽減します。
高感度・優れた再現性
ASTREEセンサーのppm レベルの優れた感度は、訓練されたパネルの味覚閾値に匹敵し、 異味の判別など品質管理にも安心です。 センサー表面での味成分の吸着や汚染が少なく、繰り返し測定の再現性にも大変優れます(標準偏差30以下)。
メンテナンスフリーな設計
ASTREEのセンサー寿命は長く、ランニングコストを削減します。センサー診断機能により、センサーの交換時期を見逃しません。使用しない期間は、センサーをそのまま乾燥させて保管することができるため、定期的な保存液の交換などメンテナンスの煩わしさからオペレータを解放します。
豊富な文献・実績
ASTREEは国内外で幅広く使用されており、なかでもFDA(米国食品医薬品局)などの政府機関での実績や論文は、その技術の高さを証明しています。
味覚分析アプリケーション
電子味覚システム ASTREEは、複数センサーによるパターン分析と単センサーの選択性を利用した表現が可能です。 ベンチマークとマッピング、標準物質添加法による味の定量、官能評価との相関モデルの構築からマスキング効果の評価まで、多彩なアプリケーションに対応しています。
センサーの選択性を利用した味マップ
ASTREEでは、基準試料に調味料を添加したときのうま味の増加と酸味の抑制効果について、 うま味選択センサー(縦軸)と酸味選択センサー(横軸)の出力値をそれぞれ12段階の味強度に変換し表現することができます。
標準物質添加法による味の定量
基準試料に、特定の味を代表する標準物質を段階希釈して添加する「標準添加法」により、間接的にその味尺度を12段階で定義することができます。
マスキング効果の評価
実薬とプラセボを測定し、そのユークリッド距離が小さいものほど原薬の味が弱い、つまりマスキング効果が高い製剤であると客観的に求めることができます。
官能分析のデータフュージョン
専用のソフトウェア AlphaSoftは、官能評価との相関を構築、証明する豊富な統計プログラムを搭載し、未知試料の予測精度を高めます。 電子嗅覚システムやビジュアルアナライザーによる測定値、さらに一般分析値や官能評価スコアなどの外部変数の情報を組み合わせることも簡単で、統合された知覚である「味」を科学的に説明します。
アプリケーションノート
タイトル | キーワード | No. |
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テキーラの熟成度と信頼性の評価 | 味, スピリッツ | AN017T |
アセトアミノフェン錠のベンチマーキング | 味、医薬品 | AN039T |
ペットフードのベンチマーキング | 香り, 味, 外観 | AN036NTE |
オレンジジュースの偽装判定 | 香り, 味 | AN035NT |
多感覚器分析によるコーヒーカプセルのベンチマーキング | 香り, 味, コーヒー | ANTH29 |
ソーセージのベンチマーキング | 風味, 外観, 加工肉 | ANHTI02 |
呈味増強素材による風味増強効果の評価 | 呈味増強, 風味増強 | ATJ01 |
オリーブオイルの苦味の定量 | 植物油, 苦味 | AT08 |
プロセスチーズの機器による多感覚評価 | におい・味・外観, 乳製品 | ANTI01 |
香りと味の評価 - スナックの新製品開発 | 風味, 菓子 | ANT04 |
官能的な品質に基づくベンチマーキング - モデナ産バルサミコ酢 | におい, 味, 酢 | ANT07 |
タバスコソースの辛味強度の評価 | 苦味, ソース | AT03 |
コーヒーの苦味の決定 | 苦味, 飲料 | AT07 |
GMPとIMPによる旨味の相乗効果 | 旨味 | AT06 |
仕様
品名 | 電子味覚システム ASTREE V5 | ||
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本体構成 | センサーボード | ||
センサーアレイ | CHEMFET センサー7 本 Ag/AgCl 参照電極 |
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オートサンプラ ラック収容力 |
LS16 : 16 ポジション(試料容量80mL) LS48 : 48 ポジション(試料容量25mL) |
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ソフトウェア | AlphaSoft(21CFR Part 11 準拠) | ||
測定対象項目 | センサー選択性を利用した「酸味」,「塩味」,「うま味」、標準物質添加法による「甘味」,「苦味」,「コク」,「辛味」・・・など自由設計可能 官能評価用語に基づく「~らしい味」など(相関データより算出) |
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操作コントロール | RS-232C | ||
寸法・重量 | 本体: 22(W)× 30(H)× 40(D)cm ・ 3Kg オートサンプラ: 42(W)× 72(H)× 58(D)cm ・ 11.6Kg |
※外観・仕様は予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。