保持指標&においライブラリ
AroChemBase


AroChemBase(アロケムベース)は、科学論文を元にした信頼性の高い化合物ライブラリです。化合物の保持指標(RI)、におい記述子、におい閾値情報が含まれており、におい分析におけるアウトプットの価値を大幅に高めます。本ライブラリはスタンドアローンとして既存のGCやGC-MSのデータを取り込むことができるほか、直接嗅いだにおい情報から逆引き検索によって化合物を同定するなど、機能の柔軟性に優れています。

化合物の保持指標・におい記述子・におい閾値情報!

保持指標&においライブラリ AroChemBaseの主な特徴:

  • 成分名、化学式、CAS番号、分子量、保持指標、におい属性・閾値、アプリケーションドメインに関する包括的な化学&におい情報を網羅
  • 14万成分以上のデータを収録
  • 約3,890成分のにおい記述子と約1,800成分のにおい閾値(検知閾値または認知閾値)データ
  • 2000以上の国際主要学術誌から約10,000件の科学論文を参照
  • 400以上のGCカラム情報
  • 化合物の追加、登録情報の編集、カスタマイズが可能

AroChemBaseは、フラッシュGCノーズ Heracles NEO によって分離された化合物の特徴や、においの特性を迅速に調べることができ、 原因究明のツールとしても適しています。 また、他社のGCで取得したクロマトグラムにも対応したスタンドアローンモジュールも用意しています。


AroChemBaseの検索画面

AroChemBaseの検索画面

AroChemBaseの結果画面

AroChemBaseの結果画面

化合物の推定を精度よくサポート!

AroChemBaseでは、化合物推定を支援するために2つのカラムを使った 「関連性指数」を算出し、その決定精度を高めます。

  1. 2種類の分離カラムを同時に使用して、2つの保持指標からクロスサーチ
  2. ライブラリ内の保持指標データと実データとの差を計算
  3. 2種類のカラムで検出されたピーク面積の一致性を計算

保持指標(横軸)によるクロマトグラムの表示とクロスサーチ

保持指標(横軸)によるクロマトグラムの表示とクロスサーチ

12種類の分野別カテゴリー

AroChemBaseは、食品、香料分野だけでなく、農薬や溶剤、石油化学など12種類のアプリケーションカテゴリーの化合物を収録しており、におい分析以外でも、幅広いGC用途における化合物検索・同定に有用です。また、オリジナルのドメインを作成することも可能です。

  • 食品
  • 香料
  • 環境
  • 除草剤
  • 法医学
  • 農薬
  • 石油化学
  • 医薬品
  • 溶剤
  • 硫化物
  • 合成
  • 毒性

アプリケーション

2種類の分離カラムを同時に使用してクロスサーチ

高速GC「HERACLES」を利用して、 医薬品の残留溶媒の迅速な検出を行いました。 本体には、DB-5(低極性)とDB-1701(中極性)の2種類のカラムと2つのFIDを搭載し、 注入したヘッドスペース成分の分離、検出を同時に行うことができます。

DB-5カラムによる分離では、保持時間RT11.99秒(保持指標RI=825.56)に通常品には見られない大きなピークが検出されました。

DB-5(上段)とDB-1701(下段)によるクロマトグラム

AroChemBaseでの解析で、DB-5のRI 825.56±10の範囲では113成分が候補化合物として検索されました。 しかし、同時に使用したDB-1701でのクロスサーチにより、9成分まで絞り込みことができ、 さらに関連性指数(データベースに登録されている保持指標の差異、2つのカラムにおけるピーク面積の差異から算出)の大きさより、 ジメチルスルホキシドであることが推定されました(下表の一番上にランキング)。

DB-5(RI 825.56±10)とDB-1701の2種類のカラムの保持指標データによりクロサーチされた結果

AroChemBaseでは、2種類の極性の異なるカラムを利用したクロスサーチにより、GCながらも化合物の推定を効率的に行うことが可能です。


におい嗅ぎガスクロマトグラフィ(GC-O)との連動

におい嗅ぎシステム「SNIFFER 9100」を装着し、試験者の鼻で感じるにおいの特徴とライブラリ内のにおい記述子を比較

牛乳正常品にオフフレーバー成分として10ppbのn-nonanal(嗅覚閾値1ppb)を添加し、GC-Oで分析しました。 RT11.3minにSnifferによる“青草臭”が感じられましたが、FIDでは検出できませんでした。

10ppbのn-nonanalを添加した牛乳のGC-O分析

C7-C17のアルカン標準液をサンプルと同一のGC条件で分析し、青草臭と感じたピーク(Snifferによる)の保持指標(RI)を算出しました。 AroChemBaseにより、青草臭の保持指標1104±10の範囲で化合物検索を行ったところ、青草臭のにおい記述子をもつn-nonanalが抽出されました。

保持指標1104±10の範囲で検索された化合物情報(一部抜粋)

GC-O(またはGC-O/MS)とAroChemBaseの組み合わせにより、検出器(FIDやMS)で検出されない化合物でも、ヒトの嗅覚で感じられたにおい情報をもとに、AroChemBaseライブラリから可能性のある化合物を推定することが可能です。

GC-MSとの連動

MSライブラリでヒットした化合物の保持指標検索によるクロス同定と試料情報に由来する香気成分のスクリーニング

ココア中の低濃度のにおい成分をGC-O/MSで分析した結果、多くの化合物がMSで、においがSnifferで検出されました。

ココア香気成分のGC-MS(パーキンエルマー社製)の同定結果(上段)とSnifferによるアロマグラム(下段)

AroChemBaseライブラリの試料名検索により、“cocoa”で検索すると、関連する論文情報から253香気成分が抽出されました。

AroChemBaseによるココアの香気成分の検索

検出された化合物リストの中からGC-MSで同定された化合物の保持指標の一致性を確認することで、化合物の同定精度が向上するだけでなく、 その化合物のにおい記述子を参照し、Snifferによるにおい表現と比較することができます。

GC-MSで同定された化合物の中で、ココアの香気成分として抽出された代表成分


AroChemBase V2023の構成

AroChemBase 保持指標&においライブラリ

  • アルファ・モス製GC用: 解析ソフトウェアAlphaSoftに組み込み
  • 他社製GC, GC-MS用: スタンドアローンとして利用
  • 対応OS: Windows 11, Windows 10 (Pro v1803、Enterprise v1607以降))

2020 NIST 保持指標データベース

GCファイル要件

GC NetCDF ファイル(ASTM E1947, E1948 に準拠)
GC-MS ASCIIファイル
  • .csv :Agilent
  • .xlm:JEOL
  • .txt:Dani, PerkinElmer, Shimadzu, Thermo, Varian-Bruker

※ AroChemBase スタンドアローンソフトウェアは、GCや GC-MSがなくても、化合物やにおい情報のライブラリとして単独で利用できます。
※ 仕様は予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。

ページのトップへ戻る