HLBの影響を受けたジュースの識別

USDA-ARS (米国農務省農業研究局) + US Sugars Corp.

カンキツグリーニング病(HLB)の影響を受けたオレンジジュースの識別

USDA-ARS (米国農務省農業研究局)とUS Sugars Corp.が共同で行った研究の一部をご紹介します。
柑橘類に致命的な被害を与える病害として知られるHLB、カンキツグリーニング病。 2007年~2008年に行われた官能評価テストにより、HLBの影響を受けたフルーツから製造されたジュースは、 酸味、苦味、塩味の点で、異味が生じるという結果が出ました。そこで、2008年~2009年に収穫されたオレンジについて、 官能評価に加え、電子味覚システムを使用し、オレンジの品質の違いによる風味の識別を行いました。


目的

カンキツグリーニング病(HLB)の影響を受けたジュースの異味が不揮発性物質に起因する場合、官能評価で得られた味の違いは、電子味覚システムで識別できるのか?

Hamlin(オレンジの一品種)
  • 収穫時期: 2008年2月13日~ 2009年1月29日
  • 2008年: 3種類の品質の木から各3回測定、 1回の測定あたり200個のオレンジ
  • 2009年: 果樹園で無作為の木に収穫された500個のオレンジ


手法

(1)官能評価テスト

訓練された12人のパネリストによって、におい・味に関する22の記述子を抽出し、標準サンプルとの比較で、0~15までのスコアを付けた。


(2)機器分析: 電子味覚システム ASTREE

オレンジジュースのサンプルは標準フィルターペーパーを通した後、 電子味覚システムの食品用センサーで分析された。
サンプル量:25mL /分析時間:180s/解析時間:120s 電
子味覚システム ASTREE は非常に再現性がよいことが下図で示されている。



結果

訓練されたパネルによる官能評価で、異味があると識別されたHLBの兆候があるオレンジサンプルは、電子味覚システムでも同様に識別することができた(下図)。



官能評価による3品質のオレンジの定量的記述分析




電子味覚システムによる3品質のオレンジの識別



考察

柑橘系フルーツジュースの品質管理において、異味を呈するジュースを選別するために、電子味覚システムを使用できることが明らかとなった。 その判別トレーニングとして、リモニンやノミリンなど、異味に関与する化合物を含むジュースを合わせて測定することが推奨される。


※添付の資料は著者の許可を得て掲載しています。

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