内服液に含まれる香料のロット・安定性管理
医薬品メーカー様
内服液の品質管理に電子嗅覚システムを利用
分析
装置: 簡易型におい判別システム GEMINI
従来まで、某医薬品メーカーで使用される香料の品質保証は、すべて入荷する香料メーカーの管理に依存していたが、電子嗅覚システムで数種類の香料を複数ロット分析してみると、一部の香料がロット間の安定性に欠けるといった傾向が確認された。
下図は、内服液に6種類の異なる香料を添加したときの複数ロット(無香料1検体を含む)のばらつきを主成分分析で表現したもので、ラズベリーフレーバーをつけた内服液のテリトリーがほかの香料に比べて極めて拡がっていることが明確である。
つまり、ここでラズベリーのロット間差が疑われた。
さらに、ラズベリフレーバーを添加した内服液のみの結果を拡大してみると、ロット【A2】、【A3】、【A5】のグループはお互い近く、品質の一貫性が見られることから合格品相当と言えるが、ほかの2ロットは何かしら理由で外れ品と判断された。
結果
詳細なレポートからは、サンプル【A1】は、6ヶ月間室温で経過したロットであることが報告され、 通常2年間の安定性が保証されている中で、6ヶ月間という短期での変化は予想外の発見であった。 また、サンプル【A4】のロットは、官能評価において品質の規格外であると判断された。 これらの結果は、これまで仕入先の管理データのみに頼っていた品質管理の方法を見直すきっかけとなり、原料の取引間の品質管理基準を一致させ、 さらに市場へは品質の一貫した製品(内服液)を安心して供給する仕組み作りを確立した。
※添付の資料は著者の許可を得て掲載しています。